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量子コンピュータ関連銘柄と米国株上場廃止のリアル

このブログでは米国株式を中心に投資をしていますが、一部の量子コンピュータ関連銘柄など非常に株価が低い銘柄なども保有している状況です。以下の記事ではどのような銘柄を保有しているかをご紹介しています。

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今回はそもそも米国の株式市場で株式が上場を維持するにはどのような基準を満たす必要があるのか、それらを満たさなかった場合にどのようなペナルティがあるのかを確認していきたいと思っています。

その中でも特に影響の大きい、上場廃止基準について初心者でもわかりやすく解説をしてみたいと思います。

米国市場の主な取引所

皆さん当然ご存じだとは思いますが、米国の主な株式市場としては、以下の2つが挙げられます。

  • ニューヨーク証券取引所(NYSE)
  • NASDAQ(ナスダック)

この2つの取引所は、それぞれ独自の上場基準や上場廃止基準を持っていますが、基本的な考え方は共通しています。

上場廃止の主な理由

NASDAQ市場のルールブックより抜粋となりますが、上場を継続するためには以下の状態を維持する必要があるとのことです。裏を返せば、これらの基準を満たすことができない場合には上場廃止となります。

5550. Continued Listing of Primary Equity Securities

A Company that has its Primary Equity Security listed on the Capital Market must continue to meet all of the requirements set forth in Rule 5550(a) and at least one of the Standards set forth in Rule 5550(b). Failure to meet any of the continued listing requirements will be processed in accordance with the provisions set forth in the Rule 5800 Series.

(a) Continued Listing Requirements for Primary Equity Securities:

(1) At least two registered and active Market Makers, one of which may be a Market Maker entering a stabilizing bid;

(2) Minimum bid price of at least $1 per share;

(3) At least 300 Public Holders;

(4) At least 500,000 Publicly Held Shares; and

(5) Market Value of Publicly Held Shares of at least $1 million.

(b) Continued Listing Standards for Primary Equity Securities:

(1) Equity Standard: Stockholders' equity of at least $2.5 million;

(2) Market Value of Listed Securities Standard: Market Value of Listed Securities of at least $35 million; or

(3) Net Income Standard: Net income from continuing operations of $500,000 in the most recently completed fiscal year or in two of the three most recently completed fiscal years.

出典:Nasdaq上場維持基準ルールブックより(外部サイト)

 

1. 株価の低迷

米国市場では、最低株価基準が定められています。例えばNASDAQでは通常、株価が連続して30営業日間1ドルを下回った場合、上場廃止のリスクがあります。この基準をクリアできないと、取引所から警告が発せられ、指定された期間内に基準を満たさないと上場廃止となる可能性があります。

上記ルールブック5550(a)(2)に該当する基準となります。

5550(a)は全て満たす必要がある基準となりますが、基本的にこちらの基準さえ覚えておけば、他は満たしているケースがほとんどですので大丈夫です。

補足説明

株価が1ドルを下回ると、投資家の信頼が失われるだけでなく、流動性が低下し、売買が難しくなるリスクがあります。そのため、最低株価基準は投資家保護の観点からも重要です。

2. 財務状況の悪化

企業の財務健全性が失われることも上場廃止の大きな要因です。取引所は、企業が十分な資産や収益を保有しているかどうかを定期的にチェックしています。例えばNASDAQでは、企業が一定の純資産額や利益を維持できない場合、上場廃止の対象となることがあります。

上記ルールブック5550(b)の基準となります。

  1. 株主資本基準:少なくとも250万ドルの株主資本を有すること。
  2. 上場証券の市場価値基準:上場証券の市場価値が少なくとも3,500万ドルであること。
  3. 純利益基準:直近の会計年度、または直近の3会計年度のうち2会計年度で、継続事業による純利益が50万ドル以上であること。

こちらについては、どれか1つを満たせば良いと記載があります。

3. 報告義務の不履行

米国の上場企業は、定期的に財務報告書を提出する義務があります。この報告義務を怠ると、上場廃止のリスクが高まります。適時かつ正確な財務情報の提供は、投資家が企業の健全性を評価する上で欠かせない要素です。

こちらの基準は当たり前と言えば当たり前ですよね。上場しているのにも関わらず財務報告していない企業の株式は怖くて買えないので、当然かと思います。

補足説明

財務報告書には、企業の売上高や純利益、負債額などの重要な情報が含まれます。これらの情報がなければ、投資家は適切な投資判断を行うことができないため、報告義務が非常に重視されます。

上場廃止までの流れ

上場廃止のプロセスは、取引所の警告から始まります。取引所は、基準を満たさない企業に対して改善要求を行い、指定された期間内に改善が見られない場合、最終的に上場廃止が決定されます。

1. 警告の発行

企業が上場基準を満たさない場合、取引所は警告を発行します。この段階では、まだ企業は改善のチャンスを与えられます。

2. 猶予期間

警告を受けた企業には、通常180日間の猶予期間が与えられます。この期間内に基準を満たすことができれば、上場は維持されます。しかし、基準をクリアできない場合は、次の段階に進みます。

3. 上場廃止の決定

猶予期間内に基準をクリアできなかった場合、取引所は上場廃止を決定します。上場廃止となった企業の株式は、通常店頭取引(OTC)市場に移されますが、流動性や取引条件は大幅に悪化します。

上場廃止の影響

上場廃止が決定すると、企業とその株主には大きな影響があります。特に、流動性の低下や投資家の信頼喪失により、株価が急落することが一般的です。また、企業が資金調達を行う手段が制限され、経営再建が難しくなることもあります。

株主への影響

上場廃止となった株式は、通常の証券取引所では取引できなくなるため、売却が難しくなります。これにより、投資家は損失を被る可能性が高まります。

企業への影響

上場廃止は企業にとっても大きな打撃です。市場からの信頼を失うだけでなく、新たな資金調達の道が閉ざされるため、経営の立て直しが困難になることが多いです。

上場廃止を回避するために取られる施策

上場廃止基準に抵触しているからと言って、すべての企業がそれを受け入れるわけではありません。取引所に対して改善計画を提出し、猶予期間を取得することで、上場廃止の猶予を得ることがあります。この間に基準を満たすように業績や株価を改善します。

また、株式が1ドル未満となってしまったケースなどでは株式併合により株価を上昇させることで上場廃止を免れるようなケースもあったりします。

まとめ

今回は米国市場における上場廃止基準について整理をしてみましたが、いかがでしたでしょうか?

本ブログでも取り上げている量子コンピュータ関連銘柄の直近の株価(2024年9月15日時点)は以下となっており、上場廃止基準である1ドル以下の株価に抵触をしており、今後どうなるかは気になるところです。

  • RGTI:0.85ドル
  • QUBT:0.69ドル
  • ZPTA:0.43ドル

米国市場の上場廃止基準は、投資家保護や市場の健全性を維持するために重要な要素であるのは事実です。投資をする側としてもそのルールを理解し、上場廃止のリスクが高まってきた際には早めに対応をしていくのが良いのではないでしょうか。

それでは、また。