Twin Dad | 双子パパの資産形成・運用記

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量子コンピュータ株:IonQ決算・SkyWater買収・D-Wave躍進を読む

量子コンピュータ株:IonQ決算・SkyWater買収・D-Wave躍進を読む 前回の記事では、5月6日のIonQ Q1決算を「最大の注目ポイント」として予告しました。今週はその決算結果が出ました。売上高は前年同期比755%という驚異的な数字でしたが、株価は発表翌日に下落。いわゆる「Sell the News(材料出尽くし)」の展開となりました。あわせて、SkyWater Technology買収の株主承認、D-Waveの量子優位性マイルストーン達成、QuantinuumのIPO申請と、量子業界を揺るがすビッグニュースが相次いだ一週間でした。

IonQ Q1決算:売上755%増も株価は下落、「Sell the News」の現実

5月6日、IonQ(ティッカー:IONQ)が2026年第1四半期(1〜3月期)の決算を発表しました。

売上高は6,467万ドル(約94億円)。前年同期比755%増という驚異的な数字です。前回の記事で「強気の材料」として挙げたバックログ(受注残)が、実際の売上として着実に積み上がってきた証拠とも言えます。

保有者としては、素直にうれしい展開です。

しかし市場の反応は違いました。決算翌日の5月7日、IonQ株は下落。「IonQ、'Nvidia Of Quantum,' Drops After Report(決算後に下落)」という見出しが踊りました。

なぜ好決算なのに株価が下がるのか。要するに、「期待が先行しすぎていた」からです。4月に56.5%急騰していたIonQは、決算前から強い期待を既に株価に織り込んでいました。その期待を「上回る」サプライズがなければ、利益確定売りが出やすい状態だった。これが「Sell the News」という現象です。4月に急騰した理由は何か、決算前に整理していてよかったと改めて思います。

一方で冷静に見ると、中長期の見通しは依然ポジティブな材料が並んでいます。

モルガン・スタンレーは決算後にIonQの目標株価を引き上げ直しました。同社はあわせて半導体セクター全体の目標株価を引き上げており、IonQもその流れに乗っています。また、RPO(Remaining Performance Obligations:将来確定ずみ受注残)も好調とされており、「商業加速が目前に迫っている」とする強気の見方も根強くあります。

そして5月9日には、SkyWater Technologyの株主総会でIonQとの合併契約が承認されました。SkyWater Technology(NASDAQ:SKYT)は、米国唯一の純国内半導体ファウンドリー(半導体製造専門会社)です。IonQがこれを買収することで、量子コンピュータのハードウェア製造能力を内製化する大きな一手を打ちました。

要するに、IonQは「量子コンピュータを自分たちで設計し、自分たちで製造できる会社」に進化しようとしています。CEOが掲げる「Nvidia of Quantum」というビジョンを実現するための、戦略的に重要な布石です。

私自身は保有を継続しながら、次の決算と製造拠点の進捗をじっくり見守るつもりです。

【出典】

D-Wave量子優位性・RigettiのCepheus 1・Quantinuum IPO申請:業界再編が加速

今週は、D-Wave・Rigetti・Quantinuumからも目が離せないニュースが続きました。

まずD-Wave(ティッカー:QBTS)。同社は量子スタートアップ「Quantum Circuits Inc.」の買収を発表しました。D-Waveはこれまで「量子アニーリング」(特定の最適化問題を解くのに特化した方式)の会社として知られていましたが、今回の買収でゲートモデル量子コンピュータ(より汎用的な方式)も手に入れることになります。

要するに、D-Waveは「1つの手法に特化した会社」から「両方を使いこなせる会社」へ変身しようとしています。

さらに、D-Waveは古典スーパーコンピュータでは解けない複雑な問題を解いたという「量子優位性マイルストーン」の達成を発表。防衛・サイバーセキュリティ・商業利用への展開も加速させています。Jim Cramer(米国の著名株式評論家)が「量子ならD-Waveが最もいい」と発言したことも話題になりました。QBTS保有者としてはうれしい言及でしたが、Cramerの発言は必ずしも株価保証ではないので、冷静に受け止めておきたいところです。

Rigetti Computing(RGTI)については、108量子ビットの「Cepheus 1 108Q」という新システムを発表。業界最大のモジュラー型マルチチップ量子コンピュータとして注目されています。Rigetti自社のクラウドプラットフォームとAmazon Braketの両方から利用できる形で公開されており、開発者・企業ユーザーへのアクセスが大きく広がりました。Rigettは翌週のQ1決算も控えており、今週はCepheus 1の発表で先手を打った形です。

そして今週最も「業界の節目」を感じさせたのが、Quantinuum(ハネウェル子会社)のIPO申請です。ハネウェル(NASDAQ:HON)は5月8日、QuantinuumがSEC(米証券取引委員会)にForm S-1(上場申請書)を提出したと発表しました。

ここには2つのメッセージがあると考えています。ひとつは「量子コンピュータ市場が、投資家から本格的なビジネスとして認められる段階に来た」という証拠であること。もうひとつは、上場企業が増えることで競争が激化し、各社の差別化がより厳しく問われるようになるという点です。Quantinuumは業界最高水準の量子ボリューム(コンピュータの性能指標)を誇るとされており、IPO後はIonQやRigettiと直接競合する存在になります。

【出典】

個人投資家としてどう考えるか

今週のニュースを整理すると、量子コンピュータ業界全体が「実績を出す段階」へ本格移行しつつある手応えを感じます。

強気の材料としては、IonQのQ1売上高755%増という数字、SkyWater買収承認でハード製造を内製化、D-Waveの量子優位性達成、RigettiのCepheus 1での技術進展が挙げられます。「夢の技術」がビジネスとして動き始めていることを示す材料が着実に積み上がっています。

一方で冷静に見ると、IonQは好決算にもかかわらず株価が下落しました。高いバリュエーション(株価が業績に対して割高な水準)で期待先行で買われた銘柄は、決算の内容よりも「サプライズ感」に反応する傾向があります。これは量子株全般に言えることかもしれません。また、QuantinuumのIPOが実現すれば競合が増え、投資家の資金が分散することで既存銘柄への一時的な圧力も考えられます。

私自身が保有する4銘柄(IonQ・Rigetti・D-Wave・QUBT)については、引き続き「じっくりホールド」のスタンスです。D-WaveがゲートモデルでRigettiと競合する局面も出てくるかもしれませんが、業界全体のパイが広がる局面では、複数銘柄を保有することがリスク分散にもなると考えています。「どれかひとつを当てる」より「業界全体に乗る」イメージで向き合っています。

来週以降は、Rigetti Q1決算の内容、そしてQuantinuumのIPO公開価格・スケジュールの詳報が焦点になりそうです。Form S-1に開示される財務情報も、業界全体の収益力を測る意味で重要な資料になるでしょう。双子が「量子コンピュータって何?」と聞いてくれる年頃には、この業界はどこまで進んでいるのか。そんな10年スパンで眺めながら、引き続き付き合っていきたいと思います。

投資は自己責任でお願いします。それでは、また。