Twin Dad | 双子パパの資産形成・運用記

双子育児をしながら40代サラリーマンが資産1.4億円を目指す過程の記録

量子コンピュータ:CHIPS法20億ドルの衝撃とIonQ・D-Wave・Rigetti

量子コンピュータ:CHIPS法20億ドルの衝撃とIonQ・D-Wave・Rigetti

米政府が量子コンピュータ9社に$20億(約3,200億円)のCHIPS法投資を発表し、保有銘柄が軒並み急騰した週でした。D-Wave・Rigetti はいずれも直近5営業日で+40%超という激しい値動き。前回整理したIonQの垂直統合に加え、今週は「国家が量子株の株主になる」という構造変化が加わりました。IonQのバリュエーション論争とQUBTの「9,000%増収でも選外」問題をあわせて整理します。


米政府$20億CHIPS法投資:量子株に「国家の太鼓判」

5月21〜22日、米商務省(Department of Commerce)が量子コンピュータ分野に対してCHIPS・科学法(CHIPS and Science Act)に基づく総額$20億以上の連邦支援計画を発表しました。CHIPS法はもともと半導体の国内製造強化を目的に2022年に成立した法律ですが、今回はその枠組みを量子コンピュータにも適用した形です。対象はIonQ、Rigetti、D-Wave、IBM、Infleqtionなど9社で、各社に対して数千万〜数億ドル規模の支援が行われます。Rigetti とD-Waveはそれぞれ$1億の意向書(Letter of Intent)に署名したことが明らかになっています。

最も注目すべき点は、この支援が単なる補助金ではなく「政府がエクイティ(株式)を取得する」形になっていることです。つまり米国政府が量子コンピュータ企業の株主に直接なる、という前例のない支援形態です。政府としては資金を拠出しつつ、将来的に業界が成長した際の果実も取り込む算段です。企業側にとっては返済不要の資本となり、財務体質を一気に改善できます。

なぜ今このタイミングなのか。背景には中国との量子技術競争があります。中国は国家主導で量子コンピュータ・量子通信に多額の投資を続けており、米国の研究者や安全保障当局はその脅威を強く意識しています。今回の$20億投資は「量子技術は国家安全保障の問題である」という米政府の明確なメッセージであり、単なる産業振興を超えた意味合いがあります。国際的にも波及しており、フランスがこの動きに呼応するように€11.6億の追加量子投資を発表、カナダも量子ネットワーキング分野に新たな資金を拠出しています。

市場は即座に反応しました。D-Wave・Rigetti はいずれも直近5営業日で+40%超。IBMも連動して上昇しています。量子株全体が「政府のお墨付き」として受け取られた形です。

一方で冷静に見ておきたいリスクもあります。政府がエクイティを取得するということは、既存株主の持株比率が薄まる「希薄化(ダイリューション)」を意味します。Rigetti の場合、この希薄化リスクはすでに複数のメディアで懸念材料として指摘されています。D-Waveも$1億の資金獲得と引き換えに政府が少数株主として入ってきます。損失が拡大中の両社にとって資金は必要ですが、既存株主にとって手放しで喜べる話ではない点は押さえておくべきでしょう。「国が選んだ」ことは事業の黒字化を保証するものではなく、急騰後の株価水準が割高に見えてくる可能性もあります。

【出典】


IonQ:急落から急騰、バリュエーションをどう読むか

今週のIonQ関連記事で印象的だったのは「過去90日で+99.5%」という数字です。Q1売上+755%増・通期ガイダンス引き上げを発表した後に一時5%下落し、SkyWater合併承認で急騰し、今週の政府$20億投資ニュースで再び上昇という乱高下が続いています。

「好決算でなぜ下がるのか」「合併承認でなぜ急騰するのか」という動きは、量子株特有のボラティリティを体現しています。業績発表は「材料出尽くし」で売られ、新しい触媒が出るたびに買い直される。典型的なグロース株の値動きです。

バリュエーション面では、2026年通期ガイダンスが$260〜$270百万に引き上げられており、「Valuation Check(割高チェック)」という見出しの記事も出始めています。一方、SkyWaterとの垂直統合完成後の製造コスト削減効果、政府からの資金支援、そしてBoulderの$1億R&D施設開設という新材料が重なっており、単純な利益ベースで割安・割高を判断しにくい状況です。

個人投資家として意識したいのは「今の高揚感の正体は何か」という問いです。業績改善なのか、政策期待なのか、モメンタム買いなのか。三つが同時に重なっている今週は、それぞれの比重を冷静に見極める必要がある局面と感じます。

【出典】


QUBT:9,000%増収でも「9社の輪」から外れた意味

Quantum Computing Inc.(QUBT)は今週、Q1 2026の売上高が前年同期比9,000%増という驚異的な数字を発表しました。LuminarSemiconductorとNuCryptの買収完了により、フォトニクス・レーザー・量子通信の能力が加わった結果です。株価も+19%超の急騰を見せています。

ところが今週、247WallStは「QUBTに乗るな」という厳しい論調の記事を出しています。理由は明確で、米商務省が選んだ9社の中にQUBTは入っていないからです。量子株全体の上昇相場に「便乗している」に過ぎず、国策銘柄としての認定はされていないという指摘です。

9,000%増収という数字も、買収による会計的な増加であり、有機的な事業成長とは性格が異なります。CienaとのQKD(量子鍵配送)実証実験は技術的に興味深いですが、受注につながるかはまだ不透明です。

QUBTが上昇しているのは「量子株全体の潮流」に乗っているからであり、IonQやD-Waveのように政府の評価が下りた銘柄とは現時点で異なる立場にあります。私自身がQUBTを保有しているだけに、この違いは常に意識しておきたいポイントです。

【出典】


投資家目線の考察:国策銘柄としての「選別」が始まった

今週最大のポイントは「政府が量子株の株主になる」という事実です。これは量子株投資の構造を変える可能性があります。

強気の見方:国家安全保障戦略として量子技術が位置づけられたことで、長期的な資金繰りへの懸念が薄まります。IonQ・Rigetti・D-Waveはその恩恵を受ける銘柄です。さらにフランスが€1.16億の追加量子投資を発表し、カナダも量子ネットワーキング挑戦に$550万を拠出するなど国際競争が加速しており、構造的な追い風は短期の値動きを超えた長期投資の根拠になりえます。

弱気の見方:政府エクイティスタンスは「希薄化」も意味します。Rigetti の場合は既に複数の記事で指摘されており、D-Waveも損失拡大中です。「国が選んだ」ことで割高感がさらに高まる可能性もあります。QUBTのように選別から外れた銘柄は、業績改善以外の次のカタリストが見えにくい状況です。

保有4銘柄(IonQ・Rigetti・D-Wave・QUBT)で見ると、今週は国策認定の有無という軸で銘柄の性格が分かれてきた週でした。一喜一憂せず、長期保有スタンスを崩さないようにしたいと考えています。


まとめ:来週以降の注目ポイント

来週以降はCHIPS法支援の各社条件(エクイティ比率・使途詳細)の開示と、IonQのSkyWater買収完了スケジュールが焦点です。QUBTのCienaとの量子通信実証が受注につながるか、そして欧州・カナダの量子政策の具体化も引き続き注目です。なお投資の最終判断はご自身の資産状況と投資方針に基づいてお願いします。それでは、また。