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量子コンピュータ:NVIDIAが量子に本格参入、35億ドル企業のSPAC上場も

量子コンピュータ:NVIDIAが量子に本格参入、35億ドル企業のSPAC上場も

先週の米政府による20億ドル(約3,200億円)の量子投資発表で全銘柄が急騰した興奮が落ち着いた今週、より静かで、しかし長期的には重要かもしれない動きが重なりました。AIチップの覇者NVIDIAが量子コンピューティング研究センターを立ち上げ、欧州スタートアップへの出資も発表。さらに欧米の未公開量子企業がSPAC(特別目的買収会社)経由で上場しようとする動きが続いています。今週は「量子に流れ込むお金の性質」が変わってきたことをテーマに整理します。

NVIDIAが量子に参入:AIの次の賭けはどこか

NVIDIAが量子コンピューティング研究センターを設立し、フランスのスタートアップ「Alice & Bob」への出資を発表しました。Alice & Bobは「猫量子ビット(cat qubit)」と呼ばれる、エラー(計算ミス)に強い量子ビット方式を開発しているスタートアップです。NVIDIAはこの投資を通じて、AI処理と量子演算の融合領域に足を踏み入れようとしています。

NVIDIAがなぜ今、量子に動くのか。背景にあるのはAIブームの「次」を探す動きです。GPU需要はまだ旺盛ですが、NVIDIAは常に数年先の技術に賭けてきた会社です。「AIの演算を量子コンピュータで加速する」「量子ネットワークのセキュリティをAIで管理する」といったAI×量子の融合領域は、現在まだ研究段階ですが、NVIDIAが本気で動くとなると話が変わります。MicrosoftやIonQも同様の方向性で動いており、今週は大手テック勢が一気に量子への本気度を示した週だったと言えます。

既存の量子株にとって、NVIDIAの参入は脅威と追い風の両面があります。追い風としては、業界の信頼性が一段と上がること。「NVIDIAが賭けているなら本物だ」という機関投資家の視線が集まりやすくなります。一方で、NVIDIAが独自の量子ハードウェアを本格開発するようになれば、IonQやRigettiの競合になり得るリスクも中長期ではゼロではありません。現時点はまだ「出資と研究センター設立」の段階ですが、今後の動きは注視しておく価値があります。

さらにIonQ(IONQ)については、今週「ショートスクイーズ(空売り踏み上げ)」の可能性を指摘する記事も出ました。連邦資金という強い触媒があった後、空売り残高が多い銘柄では、株価上昇に焦った空売り投資家が買い戻しを迫られる「踏み上げ」が起きやすくなります。ただしこれは短期の話であり、空売りが多いこと自体「弱気な見方をする投資家が多い」証拠でもあります。短期の値動きに一喜一憂せず、長期の事業進捗を軸に見ていくスタンスが大切だと改めて感じます。

【出典】

量子スタートアップのSPAC上場ラッシュ:エコシステムが広がる

今週、量子業界で目立ったのが「SPAC(スパック)」経由の上場ラッシュです。スイスのTerra Quantumが米SPAC「Axiom Intelligence Acquisition Corp 1」との合併を合意し、評価額35億ドル(約5,600億円)での上場を目指すと発表しました。また英国のUniversal Quantum(ブライトン拠点)にも複数の米SPACが上場打診をしているとの報道が出ています。

SPACとは、先に上場した「空箱会社」が未公開企業と合併することで、その企業を実質上場させる手法です。通常のIPO(新規株式公開)より手続きが速く、2020〜2021年には米国で大流行しました。その後規制強化で一時下火になりましたが、今週の動きを見ると量子セクターで再び活発化しています。

SPACの仕組みと最近のSPAC上場事例について - Twin Dad | 双子パパの資産形成・運用記

このタイミングで動きが出てきたのは偶然ではありません。米政府の20億ドル投資が「量子は確かなビジネスになる」という強いシグナルを市場に送ったことで、上場前に乗っておきたい民間マネーが一斉に動き出した格好です。Terra Quantumは量子セキュリティ・AIを活用した最適化ソリューションを展開するグローバル企業で、35億ドルという評価額は現在上場している純粋量子銘柄(RGTIやQBTSなど)と肩を並べる規模です。

日本の個人投資家がこれらSPAC経由の新銘柄に直接投資できるのは上場完了後になりますが、ここで押さえておきたいのは「量子に流れ込む資金の出所が多様化している」という変化です。最初は政府マネー、次に機関投資家、そしてSPAC経由の民間リスクマネーと、順番に資金の層が厚くなっています。これはバブルの懸念もありますが、量子コンピューティングのエコシステムが一段成熟してきたサインとも読めます。

【出典】

投資家目線の考察

NVIDIAの参入とSPACラッシュを並べると、量子コンピューティングを取り巻く「お金の流れ」が確実に大きくなっていると感じます。先週は政府が「株主」になるという構造変化を整理しましたが、今週は民間の大手テックと投資マネーがその後に続いてきた週でした。

自分が保有するIonQ・Rigetti・D-Wave・QUBTにとって、この流れは基本的にプラスと考えられます。量子セクター全体への関心と信頼性が高まれば、既存の上場銘柄にも資金が集まりやすくなるからです。ただしリスクも正直に書いておきます。SPACで新銘柄が増えれば、投資家の資金が分散される可能性があります。また現在の株価水準には期待値が先行している部分もあり、「量子バブル」という声が出ているのも事実です。

NVIDIAのような大企業が独自ハードウェアに踏み込むかどうかは、中長期でIonQなどの事業環境を大きく変えるかもしれません。現時点では引き続き「長期視点で事業の進捗(売上成長・政府案件の獲得・技術開発)」を軸に保有し続けるスタンスが良いかもしれません。短期の株価よりも、半年・1年後に今週のニュースがどう効いてくるかを問い続けることが大切だと思います。

来週以降の注目ポイント

来週以降は、NVIDIAの量子センターの具体的な研究内容や追加発表があるか、また Terra Quantum のSPAC合併が市場でどう評価されるかが注目点です。政府資金発表直後の急騰が一服しつつある局面でもあり、ここからは「誰が量子の実力者か」を見極める局面に入りつつあると感じています。売買判断はご自身のリスク許容度の範囲でお願いします。それでは、また。