SPACという言葉、コロナ後より頻繁に見かける機会が増えご存じの方も多いかと思います。
このブログの中でも何度か使っていますが、今後も投資対象となることも多いかと思い、仕組みや最近の事例などについて整理をして記事としました。
この記事でご紹介するのは以下となります。
- SPACとは何か?
- SPAC上場の仕組み
- SPACのメリット、リスク
- 最近の事例
SPACについての大枠について理解して、今後の投資に役立てていただければ幸いです。
SPACとは何でしょうか?
SPACとはSpecial Purpose Acquisition Companyの略語となり、日本語訳としては特別買収目的会社となります。
ちなみに、日本語での読み方は「スパック」が一般的だと思います。エスピーエーシーというと何のことか分からない方もいると思うのでご注意ください。
SPACは事業活動を行わない会社ですが、SPAC企業自体は上場をしており、上場時に獲得した資金を利用して企業を買収することを目的としています。
そのため、「空箱」または「白紙小切手」企業などと言われています。
SPACの特徴
SPACは最終的には企業の買収を目的としていますので、特定の業界またはビジネス分野の専門知識を持つ投資家やスポンサーによって形成され、その分野での取引を目指すことが多いようです。
上記のように特定分野に造詣の深いメンバーによって設立されるため、創設時点で買収目標・対象を念頭に置いているかもしれませんが、IPOプロセス中の開示を避けるために明確にすることはしないようです。
SPACはいつからあるのでしょうか?
SPAC自体は2003年から存在していますが、コロナ後に大きく話題となり、2019年に設立されたSPAC59件から、2020年には800億ドルの投資で247件のSPACが設立され、2021年には過去最高となる613件のSPAC IPOがあったようです。
SPAC上場とはどのような仕組みでしょうか?
やや前置きが長くなりましたが、SPAC経由の上場、いわゆるSPAC上場についてご紹介したいと思います。
SPAC上場の仕組みとしては大きく3段階のステップを踏んでいます。
- SPACの設立・SPAC自体の上場
- 買収企業の選定・買収
- 買収企業として上場
SPACがステップ1の上場時に調達した資金は、買収を完了する場合以外には支出できない有利子の信託口座に預けられます。
買収手続きまでを上場から2年間の間に完了できない場合には会社は清算され、資金は返還されます。
SPAC上場のメリット
SPAC上場をすることでのメリットとして企業側と投資家側の2側面から確認をしてみたいと思います。
SPAC上場のメリット(企業観点)
企業側の最大のメリットは、通常のIPOプロセスを経て上場するよりも時間が短縮されることになります。
一般的にIPOプロセスを経ると半年から1年はかかりますし、クリアすべきハードルが高くなりますが、SPACの場合は半年ほどで上場することができるようです。
SPAC株への投資メリット(投資家観点)
SPAC上場前のSPAC株への投資メリットは少ないのではないでしょうか?
企業買収する前のSPACへと投資をすることで未公開株への投資を行えるなどと書いている記事も見かけましたが、買収対象が不明の「白紙小切手」企業に投資するのはただのギャンブルですのでお勧めはしません。
また、今回ご紹介しているOKLOなどのようにSPACの投資対象が決まった後に値を上げたSPACもありましたが、SPAC上場直後に大きく値を下げています。
SPAC上場後ではどうでしょうか?
こちらについてはいくらかのメリットがある状態ではないかと感じています。
SPAC上場をする企業は通常のIPOプロセスを経て上場する企業よりも企業規模として小さいものもあり、将来的な成長幅がある(ように見える)企業があるからです。
とはいえ、その際にはどのような企業か?将来性はどうか?など一般的な投資対象の選定と同じプロセスを経る必要があります。
SPAC上場のリスク
SPAC上場をすることでのリスクについても企業側と投資家側の2側面から確認をしてみたいと思います。
SPAC上場のリスク(企業観点)
短期間で上場ができ、上場ハードルも低くなるので正直、企業側からするとリスクはほとんどない状況です。
SPAC株への投資リスク(投資家観点)
投資をする側からするとリスクは高い投資となると感じています。
SPAC上場前であれば、そもそもどのような企業を買収するかが不明というのは最大のリスクです。
SPAC上場後についても、メリットの裏返しとなりますが、比較的小規模な企業であってもSPAC上場をするということは、事業として思うように成長しない可能性も高いということとなります。
株式投資においての最大のリスクは企業の倒産=投資元本が0となることですので、そのリスクが他の投資対象と比べると高いのではないかと感じています。
SPAC上場の最近の事例
本ブログでも最近取り上げましたZPTAなどもSPAC上場の一つの例となります。詳細については以下の記事をご覧ください。
その他の事例としては去年からの時の人とも言えるサム・アルトマンが率いる企業のご紹介をしたいと思います。
Oklo(オクロ)社の事例
Okloは、Chat GPTを提供するOpen AI社のCEOサム・アルトマンが率いる先進的原子炉開発企業となり、上場により次世代型マイクロ高速炉「オーロラ(Aurora)」の商業化を進めていく予定とのことです。
企業としての詳細などについては別途記事にしたいと思います。
こちらはSPAC企業であるAltC Acquisition Corp.とOklo Inc.が合併し、新会社の名称がOklo Inc.となるSPAC上場となります。
2024年5月7日(米国時間)の株主総会で承認され、5月10日より、ティッカーシンボルOKLOにて取引が開始されました。
上場初日の値動きとしては-53.65%と大幅な下落となりました。
やはりSPAC銘柄の取引はかなりのリスクを伴うものとなるようです。今後の値動きには引き続き注視していきたいところです。
最後に
今回は米国株投資をする際によく耳にするSPACについて仕組みなどについてご紹介しましたがいかがでしたでしょうか?
SPAC企業への投資は今後大きく成長する見込みがある企業への投資も可能となりますが、個人的にはSPAC上場後の企業への投資が良いと考えています。
またSPAC上場後であったとしても、小規模な企業が多いですので、余剰資金での投資を心がけていくのが良いと思います。
それでは、また。