これまで「子供の教育費はいくら用意する必要があるか?」や、「子供が増えることによって生活費がどう変わるか?」という観点で子供のお金にまつわる記事を書いてきました。
子供が一人前になるまでに必要なお金という意味ではある程度予想がついて、それに向けて準備を進めれば良いような状態になったかと思います。
一方で、子供の将来を考えた際に一人前になるためのお金とは別に本人が将来自由に使えるお金をいくらか残しておいてあげることで、子供の人生の選択肢が広がったりするのではないかなとも思ったりします。
今回は子供にお金をどれくらい残してあげるか、どのように残してあげるかを考えてみたいと思います。
子供にどのようにお金を残すか
まずいくらお金を残すかを考える前に、お金を残すパターンとしてどのようなパターンが考えられるかから考えてみたいと思います。
大きくは以下の2パターンではないでしょうか?
- 一括で資産を譲るパターン:遺産、贈与など
- 少額ずつ資産を譲るパターン:暦年贈与の活用など
それぞれどういったメリットやデメリットがあるかを考えてみたいと思います。
一括で資産を譲る場合(遺産、一括贈与など)のメリット・デメリット
こちらのケースでは譲る側にはメリットが多く、譲られる側にはデメリットが多くなってくるのではないかと思います。
メリット
最大のメリットとしては、譲る側がお金を本人のタイミングで譲ることができることでしょうか。要は自身に必要な金額は残しつつ、不要になったタイミングで譲ることで本人の生活に不便がない状況となることです。
譲られる側としては、特段のメリットはないかと思います。
デメリット
譲ってもらう側なのにデメリットというのはおかしな気もしますが、譲られる側にとってのデメリットは複数あると考えられます。
- 贈与、相続時に税金が発生する(可能性がある)
- 必要なタイミングでお金が譲られていない
1つ目のデメリットは正直、お金を譲られる側である以上しょうがない部分はあるかもしれないですが、できれば無駄な税金は払いたくない人が多いと思います。金額によって発生するものとなります。
2つ目はあくまで、譲ってもらう側の論理としての必要なタイミングですが、親との関係性が良好であればこういったことは起こりにくいのではないでしょうか。
少額ずつ資産を譲る場合(暦年贈与など)のメリット・デメリット
こちらのケースでは譲られる側のメリットが多いですが、譲る側としても意外とデメリットが少ない状態ではないかと個人的には感じています。少額ずつでも譲ることが可能な家計状況であれば、こちらが良いと思います。
メリット
先ほどのケースの裏返しと時間をかけることでの投資によるメリットを享受できることが考えられると思います。
- 贈与、相続時に税金が発生しない
- 必要なタイミングでお金が譲られている
- 投資による効果を得られる
1つ目については、暦年贈与を行うことで年間110万円未満であれば贈与は非課税となります。また、相続においても一定の金額以下に抑えることでこちらも相続税はかかりません。
2つ目は分かりやすく、事前にお金が譲られている状況のため、必要なタイミングでお金を使うことができる状態となります。
3つ目としては、譲る側としてのメリットでもあります。長期間にわたって少額の贈与をすることで、投資による収益を譲られる側が受けられることで贈与する額の総額を少なくすることができるのではないかと思います。
デメリット
早くから譲ることで、譲る側が自身で使えるお金が減るというのはありますが、その辺りは譲る金額を調整することでデメリット量はコントロールできるのではないかと考えています。
子供に残す金額はいくらかが最適か
例えば、自身がとても資産家で最大限税金を少なくしたいとなると暦年贈与を産まれてから毎年続ける形が良いと思います。とはいえ、多くの家庭ではそこまで長期間にわたって贈与をし続けるほどの資産はないのではないでしょうか。
仮定として定年後の人生において不安なく子供が育てる状況になるにはいくら必要か?という形で3つのパターンで最終的にいくらの資産になるかをシミュレーションしてみたいと思います。最近言われている2,000万円を超える辺りがゴールではないでしょうか。
前提として利回りは5%、60歳まで手を付けないでもらうこと。
- 20歳時点で100万円の贈与
- 20歳時点で500万円の贈与
- 20歳時点で1,000万円の贈与
上記の3パターンでシミュレーションをしてみたいと思います。
パターン1:20歳時点で100万円の贈与をした場合
40年で735万円となります。老後を安心して過ごすには少ないと思いますが、何かしらの足しになるのではないでしょうか。40年という年月をかけると元本は7倍になるというのがポイントかと思います。
とはいえ、2,000万円という額には届かないので、子供にもいくらか投資もしくは貯金をしてもらう必要がありそうです。
パターン2:20歳時点で500万円の贈与をした場合
40年で3,600万円となります。この辺りまでなると多少のインフレを見込んだとしても老後の心配はだいぶ少なくなりそうですね。目標の2,000万円を超えているので、この辺りが一つのゴールな気がしますね。
パターン3:20歳時点で1,000万円の贈与をした場合
40年運用すると7,000万円を超えるようです。
さすがにこのレベルになるとすごいですね。相当なインフレが起こらない限りは老後の心配はなさそうです。
まとめ
今回はどのような形で子供にお金を残すのが良いかということと、老後資金2,000万円を親側で用意してあげるために必要な条件について整理してみました。
20歳までに500万円贈与して、運用を5%で回していくことで十分な資産となることが分かりました。
500万というお金を20年かけて用意するには月々1万2000円投資に回せばよいようです。おそらくそこまで難しい金額ではないのではないでしょうか?
子供の資産形成を助けたいというのは親として当然だと思いますが、極力無理のない範囲でやっていきたいですね。
それでは、また。